社会課題解決への取り組み

当社は「サステナビリティ」を大切な価値観としており、SDGs(Sustainable Development Goals: 持続可能な開発目標)の達成に向け、ビールの製造・販売事業を通じて地域課題や環境問題をはじめ様々な社会課題の解決に取り組んでいきます。

1.地域社会との共生


当社は2017年に山梨県小菅村に源流醸造所を設立し、2020年には本社を東京都渋谷区から小菅村に移転したことにより、一層地域と繋がりを強めています。
ビール造りは歴史的に地域との結びつきが非常に強く、当社も事業を通じてより一層地域社会への貢献を目指しています。

すでに取り掛かっている取り組み

地方創生


新型コロナの影響で困難な状況が続く中、地域の生産者と連携し、県内の産業の活性化をはかりたいという思いから2020年4月から「山梨応援プロジェクト」を立ち上げ、現在までに桃、梅、ぶどう、トマト、フレッシュホップなど様々な県産の農産物を使ってビールを造りました。今後も当社の地方創生の取り組みの目玉として継続していきます。

「⼭梨応援プロジェクト」から始まった「ピーチ専科ヤマシタ」とのコラボレーション「Peace Haze」は、毎年好評であることから春夏のシーズナル定番商品として醸造することになりました。

また「山梨応援プロジェクト」以外にも山梨県内の事業者とのコラボレーションにも積極的に挑戦しています。

小菅村の事業者とは梅・ブルーベリーを使ったビールと、ビールを蒸留し梅を漬け込んだ梅酒を作りました。2021年10月には「地ビールフェスト甲府」が新型コロナ感染症予防対策でイベント中止となったため、山梨のクラフトビールメーカー4社とのコラボレーション「Yamanashi Collaboration Beer」を製造しました。山梨県を代表する和菓子「桔梗信玄餅」とコラボレーションし、黒蜜ときな粉を使用したビールも製造しました。

小菅村及び隣町の大月市をふるさと納税で応援してくれる方への返礼品として、当社のビールも提供しています。

地域の観光事業者と連携


小菅村を盛り上げるために、村内の観光業者との連携も進めています。当社も小菅村観光協会に所属し、村内の道の駅や旅館・キャンプ場などで当社のビールを提供していただくことで、小菅村のファンづくりを共に進めています。

当社ビールを使って古民家ホテル「NIPPONIA 小菅 源流の村」ではディナーでのペアリングイベントや、「原始村キャンプ場」ではビアガーデンを開催していただきました。

また小菅村のイベントである多摩源流まつり、多摩川源流トレイルラン、大地の恵みまつりの開催を支援し、村出身者・ファン・観光客などの多様な人々と関わると共に、小菅村観光協会と観光施設の草刈りなども実施しています。

地域での雇用促進

小菅村の本社では役員、正社員、アルバイト、業務委託など多様な働き方で合計19名(2022年9月7日時点)が勤務しております。小菅村在住の従業員は9名、従業員の家族を含めると22名おり、地域住民の働く場所となると共に、当社で働くことを目的に山梨県に移住してきた人もおり、移住促進にも貢献しています。

今後の取り組み

新工場建設

当社は事業拡大のため、小菅村内に新しい工場を建設予定です。より環境負荷が低い設備にすると共に、地域住民の理解を得ながら、地域の景観にも溶け込む工場を構想しています。新工場は地域にさらなる雇用を生み出し、ビアバーを併設することで村の観光にも貢献していきます。

2.環境に対する取り組み

持続可能な社会を創る上で、環境問題は真っ先に取り組まなくてはならない課題です。当社はビール造りを通じて環境負荷の低減に取り組んでいきます。

すでに取り掛かっている取り組み

環境負荷の低いビール造り


ビール造りの工程には、煮沸のためにボイラーを燃焼させることや、温度を維持管理するなど様々なエネルギーが必要になります。当社は、2017年の源流醸造所の操業開始以来、環境負荷の低減に一貫して取り組んできました。

当社のビールは容器内二次発酵を行っているため、通常のビール製造より、二酸化炭素の使用量を減らすことができています。

麦汁を冷却することによってできるお湯は、お湯タンクに回収され、次の仕込やタンクの洗浄などの用途に利用されています。

製造工程で出る麦芽カスは、小菅村で飼育されているヤギのエサにしたり、動物用飼料として販売したりしています。またビールの副原料として使用した果物などは、小菅村内の廃棄物処理施設を通じて堆肥化していただき、道の駅こすげで販売されています。

食品ロス削減への取り組み


製造ロスや販売できないビールを蒸留してリキュールにするアップサイクルにも取り組んでいます。同時に蒸留工程で出るお湯を回収してビールの仕込みや設備洗浄用として再利用する仕組みも構築しました。

また「桔梗信玄餅」とコラボレーションしたビールは桔梗屋の製造工場でどうしても出てしまうきな粉を、またメルシャンとコラボレーションしたビールは摘房ぶどうをアップサイクルして造りました。

今後の取り組み

製造工程での環境対策の持続的改善

製造工程で使用する二酸化炭素の削減を目指し窒素ガス発生装置を導入することを検討しています。また一歩踏み込んで、発酵途中に排出される二酸化炭素を回収・再利用するための研究に取り組んでいます。

製造工程を継続的に見直し、パートナーと共に環境負荷の低い設備を進め、持続可能なビール造りを目指します。

多摩川源流の水と森林を次世代につなぐ


当社が工場を置く山梨県小菅村は、多摩川の源流に位置する山村です。小菅村の水は美味しいビールを造るのに不可欠であり、同時に東京都の水源でもあります。

当社は多摩川源流の水を保全していくことで、美味しいビールを造り続け、地域と都市部の水源を次世代につないでいきます。


多摩川源流の水を次世代につなぐには、水質を浄化し土砂流出を防ぐ森林が必要です。同時に森林は二酸化炭素を吸収して酸素を作り出します。ビール造りは発酵の際に必ず二酸化炭素を出してしまうので、森林の二酸化炭素吸収機能によってカーボンオフセットに取り組んでいきます。

森林を守る活動と共に、森林から生まれる木材を活用し商品化する取り組みも進めていきます。

森林のプロとパートナーシップを組み、森林を保全することで、水を守るだけでなく、排出量以上の二酸化炭素の吸収を目指し、カーボンニュートラルに取り組んでいきます。

3.多様性と働きがいの推進

ダイバーシティ・インクルージョンは当社創業以来の大事な価値観です。ビールを多様化することがビール文化の価値向上に繋がるように、チーム構成や働き方を多様化することが工場の発展にも繋がっていくと考えています。

同時に当社は働きがいの推進のために、労働環境の改善に取り組んでいます。クラフトビール業界全体の課題として労働環境の改善が挙げられ、事業を持続可能にするために、業界の模範となるような人事制度を確立し、働きやすい環境を整備し、中長期的な視点で給与水準の引き上げやその他待遇の改善に取り組んでいます。

すでに取り掛かっている取り組み

外国人の雇用促進

当社にはアメリカ人2名、ベトナム人2名が勤務しています。文化や考え方の違い、コミュニケーションの難しさがあるものの、多様性を受け入れることで強いチームができ、よりよいビールが造れると信じています。

働き方の多様性の促進

本社では子育て中の母親がお子さんと一緒に出社したり、ペットと一緒に出勤する従業員もいたことがあり、乳幼児やペットと一緒に働ける職場環境の整備に努めています。

また本社に勤務する従業員以外にもテレワークで仕事をする従業員が多数おり、働き方の多様性を推進しています。


働きがいの促進

当社では人事制度の改善、従業員満足度調査、ハラスメント防止制度、1on1ミーティング(上司と部下の1対1の対話)、チームビルディング勉強会などを実施し、継続的に従業員の働きがい向上に取り組んでいます。

今後の取り組み

当社では今後も年齢、性別、国籍、宗教、障害の有無など一人一人が持っている違いを尊重し、多様性のあるチーム作りをさらに推進していきます。同時により働きがいのある人事制度構築を推進していきます。

4.健康促進と教育に関する取り組み

当社は飲料を提供するメーカーとして、お客様と従業員の健康に貢献する事業を行っています。また学校教育の支援も行っています。

すでに取り掛かっている取り組み

蒸留酒の製造


製造ロスや販売できないビールを活用して、蒸留酒を製造しています。蒸留酒は糖質やプリン体が含まれず、健康に気を遣っている方にも飲みやすいお酒です。

社内の禁煙規定

従業員の健康増進のため、社内は禁煙にしています。

教育に関する取り組み


本社がある小菅村の小中学校の授業に協力しています。小菅中学校ではキャリア教育として社長が講演し、小菅小学校の授業では工場見学を行いました。子ども達にとってビールそのものは身近ではありませんが、ビールづくりを通じて働くことについて考えてもらいました。

また村外の学校にも開かれており、学芸大学付属国際中学校の学生には工場見学を行い、中央大学の社会起業家育成の授業では当社の取り組みをオンラインで紹介しています。

今後の取り組み

ビールの適切な付き合い方と歴史・文化の普及


アルコールの取り過ぎは健康を害しますが、適切な飲み方は健康を促進することが分かっています。また栄養価の高いビールは歴史的に栄養補給や医療にも活用されてきました。
当社はビールとの適切な付き合い方と、ビールの歴史・文化の普及に努めていきます。

アルコール飲料以外の事業

当社は、SDGsの達成に向けて、飲酒による社会活動へのマイナスインパクトを低減していく責任を負っています。「目標3:すべての人に健康と福祉を」の実現のために、アルコール飲料以外の事業の立ち上げなどあらゆる手を尽くしていきます。

5.平和への取り組み

ウクライナの人々への人道支援


当社は国際NGO AAR Japan[難民を助ける会]のウクライナ緊急支援プログラムに賛同し、公式Web Storeにて販売する《Cheers to Support Ukraine 支援セット》の売上金の一部をAAR Japanに寄付を行っています。

ロシアによるウクライナへの侵攻により多くの一般市民が非常に苦しい立場に追い込まれています。すでに多くの影響力のある著名人や大企業がこの問題に取り組み始めています。

当社は小さな組織であり、影響力も限定的ですが、「Cheers to Support」の取り組みをきっかけに一人でも多くの方がこの世界的危機に対して考えを深めていただけることを願っています。

当社にとってダイバーシティ・インクルージョンは創業以来の大事な価値観です。ビールを多様化することがビール文化の価値向上に繋がるように、働き方の中でジェンダーや国籍などの多様性を認め合うことが豊かな人間性を育み、チームを強め、発展へと繋がると考えています。

いまウクライナで起こっていることも決して私たちに無関係なことではなく、価値観にしたがって自分たちにできることを実行していきたいと考えました。

社会課題解決への取り組みは2022年9月時点での取り組みと見込みであり、今後も見直しとアップデートを進めていきます。